#145: アイデア、ファールボール、コーヒー

#145: アイデア、ファールボール、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今週は、最新号のサンプルコーヒーをご準備してくださったMountain Moverのオーナーである趙さんとインスタライブを行いました

当日ライブでご覧になっていただけた方、ありがとうございました! 見れなかった〜、という方のためにアーカイブ動画をアップしているので、お時間ある時にでもぜひご覧ください。

趙さんのこれまでの歩みに始まり、Mountain Moverがどのように誕生したのか、産地の話、最新号のサンプルコーヒーについてなど、1時間では全然足りないボリューム感でした。中南米や南米、アフリカなど、生産地に足を運び、農家の方から直接買い付けを行なっているロースターさんも少なくありませんが、雲南のコーヒー産地について話を聞ける機会はなかなか少ないんじゃないでしょうか。話を聞きながら、もっとこういうことを聞いてほしかった、掘り下げて欲しかったという方もいらっしゃると思います。そんな方は、ぜひ趙さんに直接、DMなどで質問してみてくださいね。まだまだ謎が多い産地、中国。これからもっともっと注目が集まりそうです。

そして、今週は来週末6/3(土)に開催するStandart Japan最新号のローンチパーティの招待メールを読者の方にお送りしています。メールが届いていないよという購読者の方はご連絡ください。趙さんも会場に来てくれるそうなので、そこでもコーヒーのご感想など直接お伝えしてみてくださいね。

普段なかなかお会いできない方、お久しぶりな方、初めましての方、Standart のメンバーに色々と聞いてみたい!と思っている方、皆さんウェルカムです。お待ちしてますね。

その日はちょっと・・・という方、前日の6/2(金)は東京・青山にあるLittle Darling Coffee Roastersにて、エスプレッソマシンメーカー FAEMAの体験イベントが開催されます。(詳細はこちらコーヒー関係者もコーヒーラバーも、会場でお会いできるのを楽しみにしています。

それでは今週も良い週末を!

編集長 Toshi

 

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

ロブスタ生産の雲行き

ロイターの発表によると、2023年後期から予想される強いエルニーニョ現象の影響で、ロブスタ生産量の大幅な減少が見込まれています。エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、それが1年ほど続く現象のこと。ベトナムの中央水文予報センターの報告によると、23年後期から24年にかけて、約70%以上の確率でエルニーニョ現象が発生すると言われており、その期間ベトナムでは過去最高気温を記録する見通しです。

2015~2016年のブラジルでは、強いエルニーニョ現象の影響で干ばつ被害が発生し、ロブスタ生産量が約40%減少しました。近年では貯水池や灌漑システムが整備されている地域もありますが、そもそもロブスタの生産力が天候状態に依存しているため、エルニーニョ現象が発生した際の生産高縮小は免れないとのことです。また米・メディア「ワイアード」の記事によると、今回のエルニーニョ現象によって、地球全体の気温がパリ協定で定められた温暖化基準値である1.5℃を超える可能性も示唆されており、各地で異常気象の発生が危惧されています。

以前のニュースレターでも紹介したように、コーヒー生産、そしてコーヒー農家の運命が天候に委ねられていることは明らかです。不確実性が増した今日のコーヒー生産においてこそ、農家があらゆる側面でサステナブルにコーヒー生産を行えるよう、業界として早急な支援体制の強化が求められています。

 

気になるニュース

▷  ロブスタコーヒーの先物価格が、2008年以降最高値を記録しました。ロブスタ生産量世界3位のインドネシアでは、豪雨による受粉活動の難航や湿度上昇に伴う品質被害から、2023-24年のロブスタ収穫高が20%減の予測。ブラジル、ベトナムでも同様に、収穫量の低下が予想されています。

▷ ハワイ州で深刻化するコーヒーの害虫被害への対策として、マウイ島、オアフ島ではまもなくカリバチが放たれる予定。施策の詳細については、以前のニュースレターをチェック。

▷ オートリーが、マイナーリーグベースボール(MiLB)とのパートナーシップを締結。1塁とダグアウトの間、自称「オートフィールド」にファールボールが打たれる度に無料スイーツが配られるキャンペーンや、全球場で4回になるとオートリーオリジナルコンテンツが配信される「ハーフアハーフタイムショー」の導入などが予定されています。

▷ 米国のオフィスワーカー2,050人を対象にした調査によると、全体の77%の人が、完全に仕事モードに入るには「最低2杯以上のコーヒーが必要」と答えたそうです。みなさんは仕事を乗り切るのに、何杯のコーヒーが必要ですか?

▷ PvPvEローグライクゲーム「ダーク・アンド・ダーカー」から、公式コーヒー&コーヒーマグの詰め合わせボックスが発売コーヒーは、コールドブリュー用の「ダークロースト」、ホールビーンズの「ダーカーロースト」が付いてくるとのこと。一本取られた感じがちょっと悔しい。

物足りないあなたへ

She’s the Roaster Japanポッドキャストのエピソード2が公開。スターバックスの労働組合が、同社がバリスタの権利を侵害したかについて国連機関に調査を要請

コーヒーイベント

▷ 福島:THE COFFEE'S Chapter01 ~流伝~が本日最終日! 福島市内外のロースタリー・カフェが集結するこのイベント、限定マガジンもあるんだとか。

▷ 岩手:Iwate Coffee Festivalが開催!(6/3&4)全国から素晴らしいショップが集まります。

▷ 宮城:SENDAI COFFEE FESが開催!(6/10&11)テーマは「LOCAL FIRST」。東北のコーヒーを東北の人が楽しむコーヒーフェスになるそうですよ!

日本各地で開催されるコーヒー関連のイベント情報を募集しています! Standart CommunityやInstagramのDMやメール(hello@standartmag.jpでぜひシェアしてください!

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

branch coffee  愛媛(地図

四国は愛媛県に二店舗を構えるコーヒーロースターです。西条市にロースタリーとカフェ、松山市にカフェがあります。透明感と後味の良さにフォーカスし、毎日の生活にそっと寄り添うようなコーヒーを目指して焙煎しています。

 

生産者Alvaro Antonio Pereira Coli氏

生産地域:ブラジル ミナス・ジェライス州カルモ・デ・ミナス地区マンチケーラ・デ・ミナス(地図

品種イエローブルボン

精製方法パルプトナチュラル

テイスティングノート
キャラメル、ヘーゼルナッツの甘さと香り、チェリーのフルーツ感

編集長のコメント:

封を開けたばかりの袋に鼻を押し込んで息を吸うと、緑茶の茶葉のような香りがします。ブラジルの豆ではあまり嗅いだことがなく、「お茶?」とぼそりとつぶやきが漏れました。挽いた豆からはアーモンドのようなナッツの香り。お湯を注ぎ準備ができると、まず一口目。と、鼻を液体に近づけたときに、ホワリ、と蒸気と共に香気が。お米を炊いたときのような香りで、どこか心が落ち着く甘く慈悲深い香り。気を取り直して口に運ぶと、みずみずしく透き通るようなクリーンな液体が入ってきたと思うとネクタリンを思わせてくれるやや控えめだけど主張ある甘さと酸味。蜂蜜のようなニュアンスも少し。ジューシーな果実味が過ぎ去った後に口の中に広がるのは、果肉が少し残った果実の種を口の中で転がしている時のような風味とナッツ感。液体もとろりとしたテクスチャがあります。被っていたお面を取ったら陽気なブラジル人が出てきたみたいな、いい意味で期待を裏切られるコーヒーでした。香りも個人的にとても印象的でした。飲んでみたい方はこちらから

 


What's New in the Community?
Standart Communityで起きていること

 

今週のStandart Communityでは、仕事の合間に淹れるコーヒーとアイデアの関係について、共感の声が集まりました。コーヒーを淹れるあのひとときは、つかの間の休息でもあり、仕事や制作のアイデアがフッと浮かぶ瞬間でもある。コーヒーは、あらゆるインスピレーションの源泉なのかもしれませんね。ちなみにStandart Japan最新号の制作中も、アイデアに行き詰まったときに助けてくれたのは、やっぱりコーヒでした。

 

※Standart Japan​定期購読者の皆さんにはCommunityへの招待状をメールでお送りしています。まだの方はぜひご参加ください!

 

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

 『The Rat Road

2011年に発表されたセルフタイトルアルバムで出会ったイギリスのアーティストSBTRKT(サブトラクト)の最新作。STBTRAKTといえば、UKガラージ、ヒップホップ、R&Dなどをベースに「Organised Chaos(統制された混沌)」とでも表現できる楽曲とともに、新興アーティストとの協業に力を入れるプロデューサーとしての顔で知られています。イギリスのシンガーSamphaを例にとると、SBTRKTの初作に彼が登場したのは彼自身のデビューアルバムがリリースされる6年前。(引き続き盟友Samphaとタッグを組みつつも)今回そのポジションに起用されたのは、本作リリース時点でまだシングル1枚しか発表していなかったLEILAH。彼女が参加し先行シングルとしてリリースされた「Forward」の哀愁漂いつつも耽美的なメロディーラインにはついうっとりとしていまいます。その一方で、Toro y Moiのような著名アーティストとも分け隔てなくコラボし、両者の長所ががっちりとかみ合った曲を生み出すなど、プロデューサーとしてのSBTRKT(aka アーロン・ジェローム)の才能を存分に楽しめます。

 

Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

小澤 美代 

男女ふたりの子の母であり、ブリュワー。
店舗のないスペシャルティコーヒー屋「コアコーヒー」として、イベントやポップアップでコーヒーを淹れています。現在は地元千葉で店舗をオープンさせるため準備をしています。

5 questions

今気になっている問いは?

「日本にくる前のコーヒーの謎」
情報が溢れていますので、生産や精製、輸入などそれぞれの場面でコーヒーがどういうプロセスを踏んできているか、知識はあります。ただ、私はそれを体感していません。どんな趣向でどんな声でどんな手をした生産者さんがコーヒーを育てているのか? コーヒーの花の香りは? 実の味は? 昼の太陽の光はどれぐらい強い? 空と風の色は? そこの土にはどんな虫がいる? 精製処理をする時の人々の歌を聞いてみたい。農園でコーヒーを飲むと私はどんな気持ちになるだろう。その土地の食べ物や流行りは? 生産者さんと一緒にカッピングをしたい。色んな謎がわかると、自分のコーヒーへのアプローチが変わるんじゃないかなと思います。生産地に行きたいです! それともう一つの謎、最近はじまった中1息子の反抗期はいつ終わるのか…この問いはわりと切実ですね笑

 

お気に入りの場所は?

「いつもランチを食べている公園のベンチ」
いい具合に日陰で、静かでのどか。芝生のグリーンと空のブルーのコントラストがきれいです。ご飯の後ここでぼーっとしていると、突然いいアイディアが浮かぶことがあり、私にとってパワースポットです。

 

譲れないこだわりは?

こだわりですか…元々こだわりの塊みたいな人間だったんですけど笑、今はこだわりを捨てるよう心がけています。慣れとか常識とかステレオタイプとか、固まった思考を持っていると、イレギュラーや新しい風が入ってきた時、瞬時に反応できないし、気づきや学びに鈍感になる気がします。しなやかに柔らかく、いつも新しい目で物事を見て、その時々の自分の頭で考えた、自分が心地いいと思う選択をしたいです。(と言っても、染みついたこだわりはなかなか抜けないものですね笑)

 

今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?

宇宙人並みに変わっているけれど、気も話も1番合う友。コーヒーの話やコーヒーじゃない話をたくさんしながら。いっそのこと話なんかしなくても、ただ一緒にコーヒーを飲みたいです。最高に美味しいだろうな!

 

あなたのギルティ―プレジャーを教えてください。

走る、バレエ踊る、お酒飲む、寝る!!!
このコンボで整います。

Fancy a refill?
編集後記 

先日ビリヤニを頼むつもりでスパイスカレー屋さんに行ったら、ビリヤニがメニューにないという大事件が発生(withトシさん)。それ以来どうしてもビリヤニの口がおさまらず、最終的にレシピ本を買って、家で作りました。初級編の1番簡単なレシピに挑戦したのですが、これが想像以上に美味しい。スパイスカレーとはまた違った、一皿の満足感がクセになりそうです。余談ですが、バスマティライスはインディカ米、ジャスミンライスはタイ米に分類されるそうです。奥深過ぎる!

Takaya

 


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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第24号スポンサーのTYPICA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業Swiss WaterFaema x DKSHFellow x Kiguのサポートでお届けしました。

LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)